ブランディングスキル【商品を売りたいのであれば、商品を売るな】
「将来的に起業して、商品やサービスを提供したい。よくブランディングが必要というけれど、そもそもなぜ大事なんだろう?ブランディングをするためにはどんな方法があるのだろう?詳しく学びたいな。」
そんな、起業意欲満々の方にピッタリの記事です。
今回は起業に必要な、ビジネスのベーススキルであるブランディングスキルについて解説していきます。
もくじ
- マーケティング、広告、PR、ブランディングの違いとは?
- ブランディングで生存率が90%変わる
- コーヒーの値付けで学ぶプロダクトブランディング
- スタバに学ぶマーケティングブランディング
- ヤマハピアノ教室に学ぶセールスブランディング
それでは、早速学んでいきましょう!
マーケティング、広告、PR、ブランディングの違いとは?
みなさんは、マーケティング、広告、PR、ブランディングの違いがわかりますか?
「どれも同じものじゃないの?」って感じで、普段は意識もしないと思います。
わかりやすく男女関係に置き換えてみましょう。
- マーケティング:あなたが好きな女性に「好きです」と告白をする
- 広告:不特定多数の女性に「好きです」と告白しまくる
- PR:「あの子があなたのこと好きらしいよ」と、友人(第三者)を通して伝えてもらう
- ブランディング:相手から「好きです」と告白される
つまり、ブランディング=相手(お客さん)の方から好き(欲しい)と思わせるということ。
例えば、ルイ・ヴィトン、シャネルなど、いわゆるハイブランドと言われる商品は、TV広告やウェブ広告をほとんど打たないですよね。
でも、なぜか多くの人が大金を支払い商品を買っていく。
このように、ブランディングを構築できれば、広告やPRが不要の究極のビジネスが展開できるのです。
ブランディングで生存率が90%変わる
歴史的にブランディングが強い企業は、長く続いています。
80年以上歴史がある、
では、ブランディングが無い場合にどうなるか?を理解しましょう。
ブランディングなしで陥る負のスパイラル
近所のスーパーで例えると
- Aのスーパーのキャベツは100円、対抗するBのスーパーでは90円で価格競争になる
- これ以上やると利益が出ない限界値まで来ると、「2個で120円」、「無料で宅配もやるよ」などおまけサービス競争になる
- 本来と別のサービスをすると、コストは上がるので、利益は下がる
- チラシを打つPR予算が減り、別のスーパーにシェアを取られる
ブランディングをしっかりしていないと、コストが増える中で、消耗戦になり、最終的には倒産への道を歩んでいくのです。
4種のブランディング
とはいえ、ひと言にブランディングと言っても、どうしていいかわからないですよね?
まずは、ブランディングを細かく4つに分けて考え、それぞれに戦略を練っていく必要があります。
- コーポレートブランディング: Webサイト、ロゴ、パンフレット、提携先など
- プロダクトブランディング:価格、材料、パッケージ、デザインなど
- マーケティングブランディング:チャネル、ターゲット、口コミ、メディアなど
- セールスブランディング:販売方法、提携先選定、顧客選定、資料など
では、この4つのビジネスブランディングを深く理解するために、具体例をあげて、解説していきます。
グーグルに学ぶコーポレートブランディング
みなさんは、グーグルは何の会社かわかりますか?
彼らは、検索や自動運転、Google Pixelなどの技術が目につきますが、実態は、90%が広告の売り上げ、つまり巨大な「広告会社」なのです。
しかし、彼らは「テクノロジーカンパニー」を名乗っています。
広告会社を名乗れば、電通やWPPのようなTVCMや看板広告なども扱ういわゆる広告代理店フィールドで勝負するということになりますよね。
競合を把握するが、競合を作ってはいけない。
つまり、
という考えが大事で、〇〇専門店や特化型のビジネスにとっては、特に有効。
AnyMindに見るブランディング
僕の実体験として、東南アジアでプレゼンスを高めているAnyMind Groupという会社で働いていたのですが、まさにこのコーポレートブランディングを実践している会社。
元々はAdAsia Holdingsとして、GoogleやFacebookなどのネット広告の販売・運用に特化したビジネスからスタートしたのですが、今ではテクノロジーカンパニーを名乗っています。
ぶっちゃけ、広告代理店という市場は、競合や利権だらけでなかなか風穴を開けづらい市場で、大手と全く同じ領域では勝負することは考えていませんでした。
むしろハイブリッド型として、広告、人材、製造業エリアでのプラットフォームの開発も同時に行い、本来競合に当たる広告代理店にも味方にしてしまうという仕組みを作りました。
売り上げの多くは広告運用から来ていますが、まさに、広告会社であるが、広告会社でないを体現する会社だと感じます。
コーヒーの値付けで学ぶプロダクトブランディング
ここでは、例を挙げるので一緒に考えてみましょう。
以下の条件の時に「あなたはいくらでカフェラテを販売すべき」でしょうか?
- 現状把握:高級三つ星ホテルでカフェラテを販売する予定
- 数値事実:100人対象の調査の結果、500円であれば全員が注文する
- 数値事実:1500円では高すぎて、誰も注文しない
- 数値事実:1杯のカフェラテにつき、300円の原価・販管費
まずは、価格設定の基本図を見てみましょう。
多くの人が、100人中100人が買うといった500円に合わせてしまうのではないでしょうか?
プロダクトブランディングにおいて、「最も購買数が多い価格」に設定するのはNG!
これでは、いずれカフェラテの相場である500円のラインで勝負せざるを得なくなります。
まずは以下の図で、適正価格を把握しましょう。
この図によると、売り上げが最も高いのは750円で売った時。
ただし、利益という側面で見ると、実は1000円の方が多いですよね。
つまり、「売り上げが最大になる価格」ではなく「利益が最大になる価格」を設定する必要があるのです。
相場500円のカフェラテに価値はない
相場は相場として知るべきであって、ブランディングをする上では無意味。
いかに、相場以上の価格に挑戦できるかが、ビジネスの醍醐味なのです。
かといって、むやみやたらに高値をつけるだけでは逆効果!
相場以上の価格設定をするのであれば、商品自体を売るのではなく、それ以外の付加価値をPRする必要があるのです。
付加価値の提供のアクション
カフェで淹れたてのカフェラテを飲むのであれば、500円です。
これを相場とすると、1000円にするには、それに見合った付加価値の提供が必要です。
「店舗における付加価値の提供方法」は3つあります。
- 空間付加価値 :インテリアなどの内装→コストかかる
- 商品付加価値 :材料や品質にこだわる→コストかかる
- サービス(エンターテインメント)付加価値:演出や提案力→コストかからず、一番効果が高い
高級ホテルで、カフェラテを1000円で売ると考えた時、考えられるアクションを3つにまとめると以下の通り。
- DO1:オシャレな雰囲気
- DO2:高いコーヒー豆、ミルクとお茶菓子
- DO3:目の前でコーヒーの説明をしながら作る
ここで、最も重視すべきはコストをかけずにできるサービス(エンターテインメント)付加価値。
非日常の演出をすることで、お客さんは自然と気分が上がり、SNSに投稿してくれるので、結果的に経費を節約しながらも認知・拡散ができるのです。
下高井戸の美容院
僕は海外に住んで6年になりますが、日本に帰るたびに髪を切るため、わざわざ電車で1時間かけて、下高井戸のとある美容院に行きます。
立地が特別良いとか、おしゃれな空間的演出があるわけでもなく。
なんなら、地元にある美容院の方が数倍オシャレで安い。
それでも、わざわざそこにいく理由は、まさにサービス付加価値にあります。
- 常に、新しい髪型を提案してくれる
- シャンプーの香りが選べる
- 出されるお茶の味や、香りなどの好みを覚えていてくれる
まさに、コストをかけずとも付加価値でロイヤルカスタマーを作り出す、理想的な仕組みだなと思いました。
ぶっちゃけ、日本だとどの美容室でも技術の違いに関しては、一般の人がわからないくらいレベルは高いですし、そこで戦うべきではない。
お金をかけずともお客さんを喜ばせることこそ、究極の付加価値ブランディングと言えると思います。
スタバに学ぶマーケティングブランディング
コーヒーはコンビニやマクドナルドで、100円が相場。
みなさんは、なぜ多くの人々がスターバックスでわざわざ高い500円を払ってコーヒーを買うのか説明できますか?
結論から言うと、それは「直営店」と「フランチャイズ」という構造から来ているのです。
フランチャイズのマクドナルド経営
- オーナーは利益優先
- 売上=価格×数
- メニューの価格設定は変えられない
- 数を売るため回転率を上げたい
- 回転率を上げるため、座席数を増やす
- 席数が増えることで1人当たりのスペースが狭くなる
本社直営のスターバックス経営
- 全て直営店
- 利益の管理は本社で調整できる
- 店舗は利益ファーストでは無い経営
- 広々ゆったりとしたスペースの提供
- 静かで、リラックスできる雰囲気の提供
この構造的な違いこそが、私たちが500円のスターバックスのコーヒーを購入している理由に繋がっているのです。
つまり、マーケティングブランディングには、表面から見えるものだけでなく、経営の仕組みなど構造も踏まえてコントロールをしていくことが必要。
ヤマハピアノ教室に学ぶセールスブランディング
相手から「欲しい」と言わせることこそが、セールスブランディング。
なので、商品を売りたければ、商品をPRしてはいけないのです。
例えば、ヤマハのピアノを思い浮かべてください。
ヤマハはピアノを売りたいけど、ピアノは300万円から1000万円以上するもの。
いきなり買ってくれる人はそうそういませんよね。
そこで、まずはヤマハピアノ教室を開くことで、習い事として子供に使ってもらい、必要性を感じさせてから買ってもらう。
ピアノという商品をPRするのではなく、ピアノ教室という体験を挟むことで、売り上げを伸ばしている例ですね。
つまり、セールスブランディングは売るための一歩手前の戦略が重要。
これは美容室でもカフェでも同じで、髪を切ることやコーヒーを売ることを価値にするのではなく、提案や体験を売るという考えが大切なのです。
ブランディングは、モノがあふれる時代だからこそ必要な、究極のビジネス戦略の一つなのではないでしょうか。
人気記事【営業の基礎】伝えるスキルとは?【サービスを磨くより言葉を磨け】