ビジネスに応用する脳科学【あなたは人を操る力を知ってますか?】
「脳科学がビジネスや政治の世界でも利用されているらしい。なんか、怪しいし怖いけど、どういうことなんだろう?詳しく知りたいな。」
今回は、いつもと違う目線で記事を書いていきます。
この内容は、脳科学をビジネスで応用していくための情報を具体例を交え解説していきます。
もくじ
- データより脳科学なマーケティング時代
- 支持政党は脳科学で決まる?
- 脳科学=ビジネスセンス?
- 不安をつくるセールスフロー
データより脳科学なマーケティング時代
みなさんは「マーケティングで重要なものは?」と聞かれたら、どんな言葉を思い浮かべますか?
おそらく多くの人が、データが大事というでしょう。
僕も実際に、ネット広告代理店で数々のキャンペーンを担当してきたので、当たり前のようにデータ重視で戦略を立ててきました。
よく、F1層(20~34歳の女性)、F2層(35~49歳の女性)といった感じで、年齢と性別で絞ってテレビ広告や視聴率狙ったりするのをテレビで聞くと思います。
ただ、ぶっちゃけ企業としては、商品を買ってくれればターゲティングは無意味というのが根本にあるのも事実。
そこで最近では、脳科学をベースにマーケティングをすべきだという話があります。
衝動買いは買わされている?
みなさんは、買ったけど一度も使わずにクローゼットに眠っている洋服や、旅行に行って買ったナゾの置き物のおみやげなどありますよね。
よく考えたらいらないけど、その場の雰囲気で買ってしまった=衝動買い
実は、それは脳科学によって買わされているのです。
遠くのスーパーより近くのコンビニ
これは普段の日常生活でも頻繁に起こっています。
例えば、あなたは今牛乳が必要になったとして、どちらに買いに行くでしょうか?
- A. 目の前のコンビニの牛乳100円
- B. 徒歩10分のスーパーは90円
おそらく、多くの人が少し高くても近くのコンビニを選択したと思います。
自然と便利な方を選んでいる=脳科学的にコンビニで買わされているということなのです。
果たしてどういうことなのか?
さらに、深く理解するために学んでいきましょう。
支持政党は脳科学で決まる?
誰もがトランプ氏が大統領になるなど、予想もしていなかった2016年のアメリカ大統領選挙。
ここには、脳科学の関係性があるとのことです。
トランプはオキシトシンの力で勝利?
結論、ここにはニューロポリティクス(脳神経科学の方法を用いた政治行動研究)が利用され、人々は巧みに操られていたのです。
実際にヒラリー、トランプ両候補のバックには、ニューロポリティクスのコンサルタントが入っていました。
- ヒラリー・クリントン 政策を前面に出して、支持を集める
- ドナルド・トランプ 公約はよりも、SNSのキャッチーな発言で注目
ヒラリー氏は、マイノリティーや環境問題などしっかりとした公約をアピールして支持を得てました。
一方、トランプ氏はTwitterでの過激な発言や「Make America Great Again」というスローガンで注目を集め、結果はみなさんご存知の通り、トランプ氏の勝利。
実は、このアメリカファーストの発言に多くの人が酔いしれ、オキシトシン(安心作用)が出まくり、蓋を開ければ大逆転ということが起こっていたというのです。
つまり、人は思っているより複雑なことは理解しておらず、むしろ表面的に見えるシンプルで、キャッチーな言葉や映像に左右されているということなのです。
Amazonレビューでオキシトシン?
僕たちが普段、Amazonなどで買い物するときも同様に、スペックなどの細かいところは意外と見ておらず、表面的な星の数やレビューなどで購入を決断している。
このように、安心した時に脳に分泌されるオキシトシンこそ、人の決断を操る上で重要な役割を果たしているのです。
脳科学=ビジネスセンス?
現代では、ビジネスセンスがある人ほど、脳科学を理解しているそうです。
ここで言うビジネスセンスとは、
つまり、脳科学を理解している経営者は、人間の脳内に分泌される複数のホルモンを巧みに操り、ビジネスに利用し、お金に変えているというのです。
- アドレナリン:興奮 「闘争ホルモン」
- セロトニン: 安定 「幸福ホルモン」
- オキシトシン:安心 「愛情ホルモン」
- ドーパミン: 快感 「報酬ホルモン」
では、これらをどうビジネスに生かすのか?
ビジネスにおける収益とは以下のとおり。
購入数をアドレナリン、セロトニンで増やし、顧客単価をオキシトシン、ドーパミンで上げる。
例えば、よくスーパーやEコマースサイトなどで、見かけるとタイムセール。
これも典型的な脳科学を利用した手法の一つ。
タイムセールの例
「残り何時間」とか「残りわずか」と煽られると、妙に欲しくなることってありますよね?
まさにこういったメカニズムで、ついつい衝動買いをしてしまっているのです。
僕もマーケティング担当として、Eコマースサイトの仕掛けを作っていたことがありますが、実際に駆け込み需要も増えるんですよね。
これぞ、購入数を上げるための脳科学的な手法なのです。
不安をつくるセールスフロー
ビジネスで脳科学を利用するには、この「自分の売り物は「不安」を作り出しているか?」という視点で見ることが必要。
具体的に不安には2種類あり、
・潜在的不安=見えていない不安
この「見えていない不安」をいかに作り出すかが、重要なのです。
顧客に「将来のリスクを気付かせてあげるきっかけづくり」という言い方が適切かもしれません。
人間は得と損を2つ並べられると、本能的に損したくないという気持ちが働きます。
プロスペクト理論
- A. 今このメンバーシップに登録すると会計が30%お得になります
- B. このメンバーシップに登録しなければ、3,000円お金を無駄にします
この2つを並べられると、人間は後者の方を選択するのです。
つまり、この失う不安感を利用し、あえて「不安」を作り出すことができれば、売らずに勝手に物が売れていくというのです。
実際の例を考えてみましょう。
よくあるのはリフォーム会社での無料シロアリ点検。
点検後に、シロアリの浸食のリスクや床下の状況をお客さんに知らせると、サービスを売り込まずとも、リフォームのサービスが売れる確率が上がるというのです。
つまり、無料で点検、テスト、試食などで機会を増やし→今やらないと将来的に損するよという意識を植え付けることで成約率を上げるということ。
これは、工夫次第でどんなビジネスでも当てはまることができ、例えば美容室なら
というフローでも応用できますね。
顧客単価はどう上げるか?
顧客単価はドーパミンとオキシトシンを利用することで上げることができます。
まさに、それを巧みに操り大成功をあげたビジネスが日本にあります。
ドーパミンで顧客単価UPのAKB商法?
CDが売れない時代に、100万枚近くのセールスを記録していたのは記憶に新しいですよね。
世間では批判をされていましたが、実際にファンはその価値をしっかり認識し、満足していました。
成功の仕組みは、CDにつけられる「握手券」と「選挙の投票権」。
- 握手券→好きなアイドルと握手できる→オキシトシン
- 投票権→自分が参加してグループを作り上げる感→ドーパミン
スキンシップによって分泌される人間が生きていくのに必須なオキシトシン(愛情)と自分が関与することで感じるドーパミン(快感)この2つを巧みに利用した戦略なのです。
これにより、1人で100枚以上買う人が続出しました。
100万人のマスに1枚のCDよりも、数万人の濃いファンに複数枚買ってもらうことで、顧客単価をアップしシングル1曲で20億以上を稼ぎ出したのです。
一般企業がこの手法をどうやってビジネスに取り入れていくか?
ここで、大事なのがブランディング。
ブランディングとは?
ブランディングスキル【商品を売りたいのであれば、商品を売るな】
将来的に起業して、商品やサービスを提供したい。ブランディングをするためにはどんな方法があるのだろう?詳しく学びたい。そんな起業意欲のある方向けの記事です。 「モノがあふれる時代だからこそ、モノは売るべきではない。」 なんでも手に入る現代だからこそ、必要な究極のビジネススキルを具体例と図を多めに解説していきます。
ブランドを作り上げるには、以下を徹底的に統一して変えないこと。
- センサリーエクスプレッション&ボイス:ロゴ、色、形、名前、キャッチフレーズなど
- ブランドエクスキューション:接客態度、匂いなど
企業のマーケティングやクリエイティブを担当している人ならわかると思いますが、ブランドガイドラインと呼ばれるロゴの色など細かく設定した仕様書が重要なのはこういった理由だったりします。
・フェラーリのロゴの形は?
・ナイキのキャッチフレーズは?
・アバクロのお店の香りは?
このように、みなさんにもパッと答えられるものが浮かぶはずです。
ブランドは顧客の頭の中にあるのです。
そのためには、AKBが総選挙や握手会でファンがグループを作っていったように、ブランドを作る=顧客に体験を与え、一緒に作っていくという意識をさせる。
ブランド体験はどう実施すればいい?
具体的にすぐ起こせるアクションとしては、以下の通り。
- ブランド経営者の起業ストーリー、カタログなど
- 行きつけのコーヒーショップのようなカスタマイズ
- ファーストネームで呼ぶ
- SNSでタグ付メンション
スターバックスがいい例ですが、カップに下の名前を書かれたりしますよね。
あとは、シロップやクリームの量など、自分なりのカスタマイズを受けてくれたり、店員さんが自分のことを覚えていてくれたり。
こうすることによって、特別感を感じさせ、その人の中でのブランド体験というものが構築されていきました。
ブランドはこういった地道なアクションの積み重ねで、完成していくのです。
AARRRモデルでお得意様を作る?
ブランドの積み上げで有効とされているのが、AARRR(アー)モデルというフレームワークです。
ネットサービスで使われることが多く、僕が某IT企業で働いていた時も、戦略の基本方針として入っていました。
アクセスを集め、利用開始してもらい、利用率を高め、紹介制度で拡散し、それぞれのユーザーからの収益の最大化を目指すという5つのステップの頭文字を取った用語。
- Acquisition 獲得 → 会員登録するメリット
- Activation 活性化 → 実際にサービスを使ってもらう
- Retention 継続 → LINE@のプッシュ通知やメルマガ
- Referral 紹介 → 友達紹介割引
- Revenue 収益 → 収益化
ポイントは新規顧客の獲得だけではなく、顧客を引き付け、利用を促し、魅力を伝えてリピーターにすることが重視している戦略ということ。
Dropboxの例
Dropboxは5億人のユーザーを抱える巨大クラウドファイル管理サービスですが、創業当初は新規ユーザーを獲得するのに苦労していました。
アンケート調査の結果、Dropboxのサービス自体は好評で、ユーザーの3人に1人は友人や家族の紹介でDropboxを利用し始めたことが判明しました。
そこで、口コミでユーザーを増やすため、紹介キャンペーンを始めました。
1名の紹介につき500MBの容量をプレゼントで、1ユーザーあたり、32人の招待可能で、最大16GBまでの無料追加容量を獲得できたのです。
これにより、ユーザーは容量を無料で増やすことができ、Dropboxはほとんどコストをかけずに、新規ユーザーの登録数を60%増やすことに成功しました。
- AARRRモデルで新規 → お得意様に新規を連れてきてもらう
- 口コミで紹介、サービスが拡大 → ブランドを創り上げていくという体験
- 頑張った結果、無料で容量が追加されるという報酬 → ドーパミン
まさに、これ3つの視点をうまく掛け合わせて、ユーザーを広げた成功例だと思います。
脳科学と聞いて、ちょっと胡散臭いなと感じたかもしれませんが、実は知らず知らずのうちに、ビジネスの中に組み込まれ、我々もその恩恵を受けているのです。
顧客を満足させるという、いい意味で脳科学を活用して、ビジネスの拡大を目指していきましょう。
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