【イケてるビジネス】D2Cって何?【モノではなく体験を売る】

BUSINESS TRENDS

こんにちは、旅リーマンのZuminです。

アメリカ発のD2Cメガネブランド「Warby Parker」がIPOに向け準備をしているというニュースが飛び込んできました。

なぜ、メガネ屋さんのIPOがここまで話題になるのでしょうか?

ここで重要なのが、最近よく耳にする「D2C」というキーワード。

一体既存の通販とは何が違うのでしょうか?

この記事では、D2Cモデルの基本的な情報をビジネス視点で紹介していきます。

もくじ

  • D2Cとは?
  • D2Cの特徴
  • D2Cの代表的ブランド

D2Cとは?

D2Cとは、Direct to Consumerの略で自ら企画・製造・販売を一貫して行うビジネスモデルのことで、消費者へ直接商品を届ける販売方法のことを総称して呼びます。

これまでの通販との違いは、製造から販売までの間に入る中間業者(広告代理店や卸業者、小売店)を省き、ECサイトや自前の店舗で顧客と直接コミュニケーションをとって販売するということ。

D2C図解

近年、InstagramやYouTubeのソーシャルメディアの台頭、ShopifyやBigCommerceなどの登場で自社ECサイトが簡単に作れるようになったことから発展しました。

ブランドの目指す世界観を顧客に直接伝えられるというメリットがあり、特にアパレルや化粧品ブランドなどで採用されています。

D2Cモデルの種類

ひとくちにD2Cと言っても、細分化しておりビジネスモデルとしては2つの軸があります。

  • モノ起点:自社で企画・製造した商品を中間業者を通さず直接販売
  • ヒト起点:インフルエンサーが企画・制作から担当、自分のECサイトで販売

モノ起点D2C

モノ起点のD2Cでは、良い商品を自社で作り、SNSなどを通してストーリーを発信し続け、1からブランドを構築していくスタイルです。

日本であれば、栄養食のBase FoodやビジネスウェアのFabric Tokyoなどが有名ですね。

D2C企業例

  • Base Food:主食をイノベーションし健康をあたりまえに
  • Fabric Tokyo:自分らしいビジネスウェアを通じて働く楽しさを届けるオープンなプラットフォーム

こういった創業者の明確なミッションや想い、ストーリーに共感し、顧客がリピーター・ファンになり、その輪がネットを通じて拡大していくというケースが多く見られます。

ヒト起点D2C

一方のヒト起点D2Cは、InstagramやYouTubeなどで多くのフォロワー(ファン)を抱えるインフルエンサーたちが、広告収入以外の収益確保という点で始めるケースが多いです。

例えば、Tシャツやキャップなどのオリジナルグッズ販売。

このケースの場合は、裏に広告代理店などのエージェンシーが関わっていることが通常。

インフルエンサー自身が企画やデザインを手掛け、製造はOEMで既存の工場に任せ、出来上がった商品をEC販売するという形です。

すでに熱烈なファンベースがあるところに、欲しいものを届けていくというスタイルなので、広告が要らず、在庫を抱えすぎずに販売できるのが強みです。

どちらにも共通して重要なのは世界観とそれを支えるコミュニティ。

品質がいいのはもちろんですが、商品を売るということよりも、体験やライフスタイルを売るということに比重が置かれているのがD2Cのポイントです。

D2Cの特徴

D2Cの特徴

では、D2Cの特徴とは何なのか?これまでの直販ビジネスとの違いと踏まえながら考えていきましょう。

  • ブランドのビジョンを直接伝えやすい
  • 顧客データの活用
  • 利益率を上げやすい
  • コアなファンの囲い込み

ブランドのビジョンを直接伝えやすい

D2Cの名の通り、顧客とダイレクトに接点を持つことができます。

既存の商品販売では、企画・製造→卸業者→小売店とさまざまな中間業者が入り、ブランドと販売・営業が別の組織に属することで創業者の想いは伝わりにくいという特徴がありました。

一方で、D2Cはすべてを自社で行うため、どんな人が、どんな想いで商品を作り、販売しているのかという密な関係を構築できるようになりました。

顧客データの活用 ​

顧客との距離が近くなったことで、より詳細な購買データやフィードバックなどを自社で積み上げやすくなったというのもポイントです。

小売店での販売では、どんな人がどれくらいの頻度で自社の商品を買っているのか、というのは把握しづらい状況でした。

一方、Amazonや楽天などのECモールで商品を販売したとしても、結局そのデータはECモール側の資産となるため、ブランドが直接管理できるものではありません。

D2Cであれば、自社のECサイトに顧客情報やサイト内での購買までの行動履歴など、詳細なデータを積み上げることができるので、よりきめ細かい商品開発やマーケティング手法の改善に活かすことができます。

利益率を上げやすい ​​

D2Cであれば、比較的商品を安価に提供することもできます。

従来であれば、中間業者が入ることでコストがかさみ、希望小売価格と実際の販売価格で大きな違いがあるということは当たり前でした。

中間業者とは、単に物流だけにとどまらず、広告代理店への広告・宣伝費用もSNSを中心に自社でマーケティングを行うことが多いため、大幅にコストカットできているということも特徴です。

そのため、高品質な商品でも低価格で提供しやすいというメリットがあります。

コアなファンの囲い込み ​​​

D2Cブランドでは、SNSを活用し直接顧客とつながる機会が多いため、コアなファンやリピーターを獲得しやすいというメリットがあります。

既存のブランドでは、売り手と買い手に明確な区別があるため、本当に意味でのファンというのは獲得しづらい状況にありました。

一方のD2Cでは、両者に分け隔てなく「一緒にブランドを育てる仲間(コミュニティ)」という意識が強く、ファンとなってくれた人がリピーターとして商品を買い続けてくれます。

それにとどまらず、友達やフォロワーに商品情報を拡散したり、そこから生まれた口コミやUGC(User Generated Content)がどんどん広がり、自然に広告の役割を果たしてくれるという特徴があります。

D2Cの代表的ブランド

D2Cの代表的ブランド

ここでは、アメリカで成功している代表的なD2Cブランドを紹介していきます。

  • Warby Parker(ワービー・パーカー)
  • Away(アウェイ)
  • Peloton(ペロトン)

Warby Parker(ワービー・パーカー)

Warby Parker(ワービー・パーカー)

D2Cの代表格、アイウェアを提供するWarby Parkerは2010年創業の老舗。

4人のビジネススクールの仲間での旅行中、1人がメガネを失くし、新しく買おうとしたらとんでもなく高額であったという体験がきっかけに。

「なぜメガネは高いのか?」というシンプルな疑問からスタートし、レイバンからオークリー、大手のメガネチェーンなど1つの会社がライセンスを独占していることに着目。

ライセンスフィーと中間マージンが商品価格を押し上げていることに気づき、自分たちで企画から製造、中間業者を省けば安く提供できるのでは?というアイデアが浮かびました。

当時は、投資家には見向きもされなかったそうですが、ストーリーに共感した顧客が押し寄せ、1年後には1万本を売り上げ、巨額の資金調達も成功。

2019年には売り上げ270億円を達成し、企業価値は3,300億円を超え、現在はIPOの準備を進めています。

Away(アウェイ)

Away(アウェイ)

Awayは2015年に創業されたスーツケースを手がけるD2Cブランド。

創業者の1人であるジェン・ルビオ氏は前述のWarby Parker出身。

旅先のスイスの空港でスーツケースが壊れ、下着や洋服が丸出しになって嫌な思いをした体験から創業を決意。

Warby Parker時代の同僚のステファニー・コーリー氏と、頑丈かつスマホが充電できるようにバッテリー内蔵の機能性の高いスーツケースを開発するアイデアを思い立ちました。

初期はプレオーダー製にすることで、在庫を持つリスクを減らしつつ、SNSではあえて商品を押し出さないマーケティングを進め、旅行に行きたくなるようなオシャレな投稿でファンを惹きつけることに成功。

出典:Instagram @away

結果、初年度で12億円以上を売り上げ、現在の企業価値は1,500億円を超えるまでに成長しています。

Peloton(ペロトン)

Peloton(ペロトン)

Pelotonは、2012年にニューヨークで創業されたエクササイズマシーンを提供するD2C企業。

エアロバイクとトレッドミルにモニターがついており、ストリーミングで好きなトレーナーと一緒にトレーニングを体験することができます。

創業者のジョン・フォーリー氏は、本屋の仕事に追われる毎日の中でエクササイズ教室に通う楽しみと家族との時間の両立に悩み、自宅でも気軽に運動できるこのアイデアを思いつきました。

テクノロジーの力があれば解決できると考え、同僚のトム・コーテーゼ氏にアイデアを持ちかけ共同で創業。

トレーニング機器を売るだけではなく、その後のストリーミングコンテンツのトレーナーや仲間と励まし合いながらエクササイズができるサブスクモデルがヒットし、コロナ渦で特にニーズが上昇。

2019年にはNASDAQに上場、1,000億以上をIPOによって調達し、翌年には2,000億円以上の売り上げをまでに成長しました。

まとめ

ということで、今回はD2Cというビジネスモデルについて解説してきました。

最近よく聞く単語ではありますが、決して画期的で新しいモデルというわけではありません。

顧客に満足してもらえる高品質な商品を提供するのはもちろん、SNSで一方的に発信をするのではなく、双方向でコミュニケーションをとり続け、ブランドの世界観、コミュニティを作り上げていくことがポイントになります。

また、モノを売るのではなく体験を売ることに注力し、サービスの改善にあらゆるデータを活用していくことも成功のカギとなります。

これからも世界中でD2Cの流れは進んでいくので、引き続き注目していきましょう!

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