マーケティングデザインとは?【商品の品揃えや質ではなく本質を見ろ】
マーケティングデザインを知りたい人「マーケティングデザインってどういう意味なんだろう?マーケティングリサーチとどう違うの?具体的なフレームワークも合わせて学びたいな。」
そんな疑問を持つ方向けの記事です。
この内容は、マーケティングデザインという考え方をもとにビジネスにおけるマーケティングの思考法を解説していきます。
もくじ
- マーケティングデザインとは?
- ピカソとゴッホの明暗を分けたマーケティングデザイン
- VOTで考えるマーケティングデザイン
それでは早速、学んでいきましょう!
マーケティングデザインとは?
結論、マーケティングデザインとは、ビジネスにおける既存の概念や業界の風習を破壊し、新しい視点で物事を見ていくという力のことです。
マーケティングリサーチでは、主に「売れなくなった理由」を調査しますが、現状を把握するだけであって、そこから導き出される答えはあくまで現状維持のようなものになりがち。
一方で、マーケティングデザインは品揃えや質を上げるのではなく、カスタマーアクション(顧客の行動)を把握し、他社とはまったく違う角度から攻めるということ。
この考え方は、以下のような状況で活用ができるので、ほぼ全てのビジネスをする上で必要なスキルです。
- 商品が売れなくなってきた
- 競争の激しい業界でどう戦っていくか
- 新規参入した業界でどう勝ち残るか
ジャムの法則で見るカスタマーアクション
あなたが、ジャム屋さんのオーナーだとして、売上が下がっていたらどうしますか?
おそらく多くの人が、以下のような表面的な改善を思い浮かベるのではないでしょうか。
- もっと商品を美味しくする
- ジャムの取り扱い種類を増やす
- 値下げをする
そこで、大事なのが「ジャムの法則」という考え方。
とあるお店で、ジャムを「24種類と6種類売る場合で、どちらが購入率が高いのか?」という実験をしました。
- 24種類→3%
- 6種類→30%
すると、なんと数をしぼって提供した方が、購入率が上がったのです。
ということは
ジャムに問題があるのではなく、実は種類がありすぎて迷って買わないお客さんが多いのでは?
という仮説が立てられますよね。
カスタマーアクションとは、商品・サービスを中心に考えるのではなく、顧客の行動を重視して新しいアイデアを提案するということなのです。
モノではなく、行動思考で考える
引き続き、ジャム屋さんで考えていきます。
ジャムを買いに来るお客さんは、パンを食べる人ですよね?
ということは、新しいお客さんを取り込むには、顧客(パンを食べる人)ではなく非顧客、つまりパンを食べない人に目を向けてみるということが大事。
すると、
パンを食べない→ご飯は食べる
という考えができますよね。
例えば、実際にご飯を食べる人が多いなら、その技術を活かしてご飯に合うジャムを作ってみるとか、ジャムを使ったアレンジ料理を提供するレストランにするというアイデアが浮かんでくるかと思います。
つまり、モノを中心に考えるのをやめ、顧客の行動を観察し、既存の概念を覆した戦略を取るというのが、マーケティングデザインの考え方なのです。
ピカソとゴッホの明暗を分けたマーケティングデザイン
ピカソとゴッホは、1800年代後半を代表するの2人の画家ですが、ピカソは生前から稼いでいた一方、ゴッホは亡くなってから絵の価値が上がりました。
実は、ピカソはマーケティングデザインの2つのスキルを活用して、圧倒的な価値を作り出していたというのです。
- カスタマーアクションを見る力
- 既存の概念を破壊する
既存の概念を破壊
その時代、絵というものは見えるものをいかにリアルに描けるかという所に価値がありました。
一方で、ピカソと言えば、ゲルニカなど一般の人からすると理解できないようなタッチの絵が有名ですよね。
その時代の当たり前をぶち壊し、奇抜なスタイルで描くことで他との差別化をし、ライバルと戦わずして自身の絵の価値を上げたのです。
カスタマーアクションの観察
その一方でピカソは、自分の絵を売るために、顧客(絵が好きな人)の行動を徹底的に観察していました。
そこで見出したのは、絵が好きな人=富裕層=ワインをよく飲むという行動。
自分の絵をワインのレーベルにしたら認知も上がり、絵の売り上げにも繋がるのではないか?
そう考えたピカソの行動によって、シャトー・ムートン・ロスチャイルドの有名なラベルが誕生し、富裕層への認知が上がったのです。
めちゃくちゃスマートな戦略ですよね。
ピカソはマーケティグデザインという言葉が生まれるはるか昔から、常に新しい視点で物事を見て、敵と戦わずして戦に勝っていくという模範的なマーケティグデザインを実現していたのです。
VOTで考えるマーケティングデザイン
では、このマーケティングデザインの考えをビジネスにどう実践していくか?
そこで必要になるのが、VOTというフレームワーク。
- Value:自社の提供できる価値
- Obstacle:自社の価値を下げているもの(競合)
- True-Reason:顧客が自社の価値を下げているもの(競合)を選ぶ理由
例えば、デジカメで当てはめてみると分かりやすいです。
「なぜデジカメが売れなくなったか?」と考える際に、スマホの普及ということは頭に思い浮かぶかと思います。
V:デジカメを売りたい
O:スマホが普及している
T:自撮りをしたい
ただ、それをさらに深掘っていくと、「自撮りがしたい」、「動画を撮りたい」という市場のニーズが見えてきます。
となると、デジカメでは自撮りや動画は撮影しづらいという行動が見えてきますよね。
そこで、出てきたのが自撮りや動画を撮りやすくしたGoProだったり、Osmo Pocketなようなコンパクトなアクションカメラ。
こちらは廃れるどころか、むしろ売上を上げていますよね。
表面的に見えるものだけで判断するのではなく、顧客がなぜそういった行動を取っているのかということをVOTフレームワークに当てはめ、分解していく。
すると、実は商品自体に問題があるわけではなく、施策やちょっとした売り出し方の違いで、お客さんを増やすようなアイデアが見えてくるのです。
美容室で考えるマーケティングデザイン
美容室を変える理由の80%以上は、実は「なんとなく」なのです。
ということは問題は、カットの技術ではなく他店との差別化にあるのではないでしょうか?
美容室の顧客の行動を見ていくと、多くの人がカット中や後にインスタに投稿する人が多いことに気づきました。
であれば、美容室の中にインスタ映えするような撮影ブースを設置し、その写真を送付する名目でお客さんとLINEを交換する仕組みを入れてみる。
すると、どうでしょう?
- 写真をSNSに投稿してもらうことで、自然な口コミの醸成
- 自然に顧客と継続的にコミュニケーションが取れる窓口
2つの施策が自然に実現でき、すぐに他との差別化を図ることができますよね。
既存のものを代替しようとすると、すでに競合がたくさんおり利益率の低下を招きます。
モノにあふれる時代だからこそ、モノ思考ではなく、行動思考で差別化をしていく。
これこそが、マーケティングデザインという考え方なのです。
みなさんもぜひ、この考え方をビジネスに取り入れてみてはいかがでしょうか。
人気記事ビジネスに応用する脳科学【あなたは人を操る力を知ってますか?】