【後編】論理的思考スキル【フレームワークで考えるサービス設計】
「起業して自分のサービスを広めたい。ただ、どうやってサービスを設計していいのか全く分からない。市場調査はどうやったらいいのだろう?」
そんな意識高めの悩みを持つ、あなた向けの記事です。
前回に引き続き、論理的思考スキルの考え方をもとに、ビジネスにおけるサービス設計を解説していきます。
事実に基づいた判断をする、論理的思考ありきの話なので、ぜひ【前編】から読み始めていただくと、より深い理解ができます。
【前編】論理的思考スキル【ドラマティックよりロジカルな判断】
ビジネスにおける論理的思考を学びたい。だけどめちゃくちゃ難しそう… 具体的にどういうトレーニングや考え方をしたらいいのかな?わかりやすく解説してほしいな。ビジネスには、顧客の視点を論理的に追求、説明することが超重要。この記事を読んで、感情でなく、事実に基づいた判断をできるようになりましょう。
今回紹介するサービス設計の流れは以下の通り。
しっかりと分析を行いながらサービスを作っていくことで、着実に成長するビジネスを世に出すことができるようになります。
もくじ
- 相手を知る前に己を知れ「3C分析」と「SWOT分析」
- 戦略を練るための「4P分析」
- 市場分析に必要な「ニーズ調査」と「デプス調査」
- 「ペルソナ分析」で割り出す市場規模
それでは早速学んでいきましょう!
相手を知る前に己を知れ「3C分析」と「SWOT分析」
皆さんは3C分析という言葉を聞いたことがありますか?
3C分析とは?
「3C分析」とは、
・Company(自社環境)
・Competitor(競合環境)
この3つの頭文字を取って名付けられた、自社の業界環境を把握するための分析方法。
この分析のポイントは、以下の通り。
- ネットでの情報だけに頼らず、自分の足を使う
- 徹底的に事実のみを集める
- まとめる際には誰にでもわかりやすいシンプルさを意識する
ただ、いきなり分析しろと言われても、そもそも自社の強みが分からなければ、どれだけ相手や顧客を研究しても、何をしたらいいのか分かりませんよね?
そこで、自社の強みを把握するのに必要なのが、「SWOT分析」。
SWOT分析とは?
非常にシンプルで、どんなサービスを開発するにも使われるフレームワークで、以下4つに分けて、事実を当てはめていくだけ。
- Strength(強み)
- Weakness(弱み)
- Opportunity(機会)
- Threat(脅威)
僕も、ネット広告代理店で働いていた際、色々な業種の会社に提案する機会がありましたが、「SWOT分析」を欠かさず入れて提案資料を作成していました。
スタバを例にしたSWOT分析
こんな感じで、まずは事実をベースに、思い浮かぶものを箇条書きにしていきます。
これで、多少何をやるべきか、やらないべきかクリアになったかと思います。
さぁ、SWOT分析でわかった自社の強みを活用し、あなたがスタバの近くにカフェを出店するとして3C分析をしてみましょう!
新規でカフェをオープンする際の3C分析例
近くに競合であるスタバがある場合の3C分析です。
この3Cに当てはめる際、それぞれ以下のような項目を中心にデータを集めていくと良いです。
① 顧客分析で把握する項目例
- 業界の市場規模
- 市場の成長性
- 顧客ニーズ・消費行動
② 自社分析で把握すべき項目例
- 自社サービスの現状(売上、シェア、商品ラインナップ、戦略)
- ビジネスの特徴、強み、弱み
- 現在のリソース(ヒト・モノ・カネ)
③ 競合分析にて把握すべき項目例
- 競合の業界ポジション(売上、シェア、商品ラインナップ、戦略)
- 競合の特徴(戦略・リソースなど)
- 今後想定される競合の動き(自社の対抗手段)
このフレームワークを活用できれば、ビジネスはもちろん、コンサルタントとして仕事をすることができます。
戦略を練るための「4P分析」
さぁ、ここまで自社を取り巻く環境が分かったところで、さらに深掘りしていきましょう。
次に出てくるのが、「4P分析」です。
・Price(価格)
・Place(流通)
・Promotion(販売促進)
マーケティングにおける4つの視点の頭文字を取って名付けられた、マーケティングミックスとも呼ばれる戦略策定のための分析手法です。
引き続き、先ほどのカフェの例でやっていきましょう。
このように、4つの視点からターゲット市場を分析し、自社の課題点や強みを発見することが目的です。
4P分析のポイント
- 自社商品の強み、競合商品の特徴を分析
- ブランド力やターゲット層を分析して適切な価格設定
- 商品やターゲットを分析して販売経路を決定
- 商品に合わせてアプローチ方法を分析
課題や強みが明確になることで、具体的な戦略を立てることができるようになります。
徹底的にパクるTTP戦略
4P分析で自社、競合の分析を比較し、徹底的にパクり1つ1つの改善をすることで競合にも勝てる道筋が見えてきます。
この分析ができれば、相手より少し条件を上回るべき範囲が明確になりますね。
市場分析に必要な「ニーズ調査」と「デプス調査」
さぁ、ここまで来て、ようやく自社の商品やサービスにニーズがあるのか分析をします。
市場分析というと、多くは、Google検索などネットで出てきた市場規模などの情報をもとにまとめてしまいがちじゃないでしょうか?
しかし、これだと本当にニーズがあるのかは把握できません。
リアルな市場規模とは
つまり、足で稼いで、生の意見を聞かなければ、結局机上の空論になってしまい意味がないのです。
ここで、必要になる調査が以下2つ。
- ニーズ調査:多くの人に「こんなサービスあったらどう?」と聞く。カテゴリー分け(主婦、サラリーマンなど)をしっかりする。
- デプス調査+メンタルアカウント分析:ニーズ調査から確認できた特定のカテゴリー層から10人程度を呼び、対面でインタビュー調査。
ニーズ調査
「あなたはどういう人?(職業、年齢、住んでる地域、年収など)」
「こんなサービスあったらいくら払いますか?」
こういった質問をオンラインなどで実施、このデータをもとにどういう人がその商品を欲しているのか、仮説を立てていきます。
デプス調査+メンタルアカウント分析
次に、仮説を正しいのか、マッチングしていくためにデプス調査になります。
ニーズ調査でカテゴリー分けした特定の人をオフィスに呼び、個別に深掘りしたインタビュー調査します。
なぜ、ここまで調査する必要があるかというと、メンタルアカウントといわれる人それぞれの購買特徴や金銭感覚をしっかり組み込む必要があるから。
例えば、
ここまで深い情報は、アンケートではなく実際に対面してみないと引き出せないですよね。
そのためにも、インタビューは必ずリラックスした環境で行う必要があり、さらに質問を聞いていく順番が重要です。
- ①スモールトーク → 日常会話でリラックスさせ、自分自身のことも話し安心感を与える
- ②ライフスタイル質問 → 趣味、家族構成、出勤・帰宅時間などその人の1日を聞き出す
- ③ワンアヘッド質問 → 年収、家族の経済状況、ローンの残高など折り入った質問をする
- ④そこからサービスの説明、意見やなぜ必要・不要なのか?WHYを3回聞くような質問で深掘る
インタビュー中にほろっとこぼした言葉が重要だったりするので必ずメモを取るようにしましょう。
デプス調査が活きたZOZOTOWNのツケ払いの例
- 商品をカートに入れても、買わずに離脱が50%ほど
- すぐに買ってほしいので、ツケ払いを検討
サービスの実施を検討する際に、カートに入れたまま購入しないユーザー何名かをオフィスに呼び、デプス調査をしました。
- 多くがカードなどの翌月の支払いまでいっぱいいっぱいと分かった
- 翌月では大きな変化がなさそうだ、翌々月まで支払いでOKにしよう
普通なら1ヶ月後で考えがちですが、デプス調査をして購買行動を把握したからこそ生まれたサービスが2ヶ月後までOKの「ツケ払い」なのです。
「ペルソナ分析」で割り出す市場規模
以上、デプス調査を終えたら、終盤です。
一番共通点のあったデータをもとに、あたかも存在するかのような架空の人物を作ってみましょう。
ポイントは、リアリティのある詳細情報を設定すること。
- 年齢・性別・居住地・職業・役職
- 年収・趣味・特技・価値観
- 家族構成・ライフスタイル・休日の過ごし方
ペルソナ作成例
A子さんは仕事を16時に切り上げ、17時に保育園に迎えに行きますが、スーパーで買い物をして夕飯を作るのは大変です。
このような主婦10名にデプス調査をしたところ、8名がぜひ夕飯宅配サービスを利用したいと言っており、このサービスには月の食費5万の半分なら払いたいと言っています。
そして、この街には同じような主婦が2万人おり、このエリアでの市場規模は2万人×80%×2.5万円で月間4億円程度が見込めます。
このように、具体的なペルソナを使い、プレゼンでは逆算をして数字に落とし込み、説明をしていくことで、説得力のある資料が作れます。
サービスの普及は一朝一夕でない
では、サービスをリリースしていきなり月間4億円売れるかと言ったらそうではないですよね。
サービスの浸透には普及曲線というものがあり、それを理解した上で事業を計画をする必要があります。
- イノベーター(新しいもの好き)2.5%
- アーリーアダプター(比較的新しいもの好き)13.5%
- アーリーマジョリティ(慎重派)34%
- レイトマジョリティ(現状維持)34%
- ラガード(流行嫌い)16%
新しくカフェをオープンをした際、100人中16人くらいは気分を変えて冒険し、その新しいお店を利用してくれるという計算です。
つまり、サービス普及には新しいもの好きのイノベーターとアーリーアダプターの16%を徹底的に満足させ、口コミで広げてもらうことに集中すべきなのです。
UberEatsの例
UberEatsは、特に大きなCMを打ったわけでもなく、いつの間に広がったイメージがありますよね?
まさに、イノベーター、アーリーアダプターと呼ばれる人たちの口コミでじわじわと広がり、今回のコロナの件で爆発的に浸透していったと言ってもいいでしょう。
では、口コミを生み出すために、どんな意識でビジネスを立ち上げるべきか?
- バイラルされるキャッチコピーを創る → 「結果にコミットする。」など
- ニッチなPR戦略をする → 大きいサイズ専門店、唐揚げとハイボール専門店など
このように、大企業と戦わずして自然的に口コミを発生させられるような戦略を立て、最初の16%の顧客を取りきる戦略を組むことが重要なのです。
今回は、事業計画書が書けるようになるまでの、論理的思考、サービス設計のフレームワークをまとめていきました。
みなさんも早速このスキルを使って、サービスの設計をしてみましょう!
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