【本当のニーズを見つける】Key Selling Pointとは?
起業したい人「自分でビジネスを始めたいけど、顧客のニーズってどうやって把握すればいいの?」
そんな悩みを持つ方向けの記事です。
この記事を読むことで、ビジネスをする上で重要な本当の顧客ニーズを見つけ出す方法が学べます。
今回は、「Key Selling Point」という考え方をもとに、わかりやすく解説していきます。
もくじ
- ターゲットは絞るべきではない!
- 心理状態を把握し勘違いをなくす
- ソフト視点と体験を意識して売り間違いゼロ?
ビジネスでは、必要なものを提供すれば、お客さんの方から勝手に取りにきます。
ただ、多くの企業が顧客の本当のニーズを理解していないことが多く、今も失敗しています。
その原因は「3つの間違い」を犯しているから。
- 人違い:花を買うのは花が好きな人でしょうか?
- 勘違い:スタバはマクドナルドのコーヒーに味で負けた
- 売り間違い:創業〇〇年、特許取得済みを推す売り方
果たしてどういうことなのでしょうか?
それでは、早速学んでいきましょう!
ターゲットは絞るべきではない!
ターゲットと聞くと、年齢や性別、年収などで区切ってしまうことが多いかと思います。
しかし、ビジネスにおいてはターゲットを絞るよりも顧客の購入前の心理や行動を分析する方がより重要です。
なぜなら、性別や年齢によるターゲット設定は、商品を買ってくれるかもしれないお客様の層を狭めるだけで、利益を減らすだけの行為になってしまうからです。
ターゲットは心理状態や行動で設定すべき
例えば、ルイヴィトンのターゲットと聞くとどんなイメージを思い浮かべますか?
多くの人が、お金持ちの富裕層を思い浮かべるのではないでしょうか?
しかし、実際のルイヴィトンのターゲットは、「年収600万円ほどの中間所得者層」であり、売り物は「優越感」なのです。
つまり、本当にルイヴィトンを買っている層は、「みんなに見せたい」、「自分をよく見せたい」という優越感を味わいたいがために、商品を買っているのです。
ということは、年齢や性別で区切りをつけてしまうのはナンセンス。
心理状態や行動をもとに仮説を立て、潜在ニーズによってターゲティングしていくことの方がよっぽど重要なのです。
潜在ニーズを把握するには、「購入前」、「購入」、「購入後」の3つのステージにカスタマージャーニーを分け、それぞれのステージでの心理と行動をブレイクダウンして考えていきます。
例えば、インスタグラムをチェックして、ハッシュタグで検索、Webサイトをチェックして、在庫確認をするために電話をする。
在庫確認の電話をするという行動は、買いたいという心理の表れですよね。
このように、それぞれの行動に対してその時の心理状態を考えることで、顧客のニーズを汲み取ることができるようになるということです。
ターゲットは4段階の3段目がちょうどいい
とはいえ、売り出し文句に「誰もがターゲットです」では、結局誰にも刺さらない商品になってしまいます。
ここで、意識すべきなのが「4段階の3段目の法則」。
例えば、あなたがセミナーを開くとします。
- 売上UPセミナー:なんとなく怪しいイメージ
- 店舗向けSNS活用法:広すぎて微妙
- 美容院向けSNS活用法:ちょうど良く刺さる
- 美容院向けTwitter活用法:狭すぎる
こんな感じで、上から3番目ぐらいが広すぎず、狭すぎず、程よくいいキャッチコピーになるのです。
色んな人を取り込もうとすればするだけ、感情を動かしづらく、狭すぎてもニッチすぎて人が集まりにくくなります。
キャッチコピーひとつにしても、フレームワークに当てはめ、絞り込みの程度を意識していきましょう。
ターゲット設定のポイントまとめ
- 所得や性別でなく、行動で判断する
- 潜在心理からしっかりと仮説立てが重要
- ターゲットを絞る方法は4段階の3番目
心理状態を把握し勘違いをなくす
ターゲットの設定ができたら、次はニーズの把握です。
ニーズを把握するには、潜在的部分から仮説を立てるスキルが求められます。
ただし、このスキルは大人になればなるほど、見つけづらくなるものです。
例えば、以下の絵を見てみましょう。
あなたは、絵を見た時間と横の説明文のどちらを長く見ましたか?
- ほとんど文字を見る → 大人
- 絵を見る → 子供
大人になると持っている情報が多くなるため、目に見えるものでしか説明をできなくなり、見えるもの以上の想像力を失うことが多くなります。
一方で、子供は純粋に絵を見て、何が起きているのか思うがままに説明できます。
ビジネスでも同じく、目に見えるものだけでなく、潜在的な部分から仮説を立てられるスキルがニーズを把握する上で、とても役立つのです。
補聴器で考える潜在的心理
例えば、補聴器を売ろうとすると多くの企業がコンパクトさや、特許所得済みなど、機能面を押し出そうとします。
ただ、本当に顧客はそこを気にしているでしょうか?
なぜ、補聴器を買うのかという行動を考えると、
これが真のニーズであり、機能説明だけでは人の心を動かすことはできないのです。
この例から分かる通り、真の「不」を突き止め、それが解決した時の「理想の姿」を見せる。
ここを意識することで、人々の感情を動かすことができ、心に響くキャッチコピーやPRの施策を考えることができるようになるのです。
心理状態を把握するFASHER法
では、どうすれば真の「不」を見つけ出すことができるのでしょうか?
ここで、使えるフレームワークが「FASHER法」です。
FASHER法とは、以下の6つのキーワードの頭文字を取ったフレームワークです。
- Family:家族 → 子供の学習塾、家族の健康
- Anxiety:不安 → 保険、ジム、サプリ
- Self-Satisfaction:自己満足 → オーダーメイド、ホテル
- Human Relationships:対人関係 → ダイエット、エステ、美容院
- Emergency:緊急性 → パソコンデータ復旧、カギ交換、水漏れ110番
- Return:投資 → 集客媒体、コストカット
ほとんどのビジネスは、この6つのどれかに当てはまります。
人は、多くの「不」を抱えており、理想のなりたい姿との間にあるものに価値を感じ、購入に至ります。
FASHERS法のフレームワークを活用して、真のニーズを明確化しましょう。
顧客ニーズ把握のポイントまとめ
- 潜在的ニーズを把握し、感情を動かす
- FASHERの法則に当てはめ、ニーズを明確化
ソフト視点と体験を意識して売り間違いゼロ?
ターゲットとニーズが把握できたら最後に、売り出し方を考えていきましょう。
モノにあふれる現代では、商品そのものよりも、体験を売るこという視点がより重要とされています。
ここで重要なのが、Customer Experience(顧客体験)を見るソフト視点。
- ハード視点:モノから始まる視点
- ソフト視点:体験から始まる視点
ラムネの商品改善で見る間違い視点
例えば、ラムネの商品改善の例で考えていきましょう。
ハード視点 | ソフト視点 |
飲みにくい | 昔ながらの懐かしさ |
味やパッケージ | ビー玉の転がる音 |
手頃さ | 夏を感じられる |
なぜ、ラムネを買うのかを考え、ハード視点で商品改善考えていくと、ペットボトル入りのラムネという、本来のニーズとかけ離れた商品ができてしまいます。
大切なのは、ソフト視点であり、そこから「WHY」を突き詰めて考えていくことで、本当に顧客が求めているニーズにたどり着くことができます。
もう1つの例として、水で考えていきましょう。
「なぜ水を飲むのか?」とWHYを突き詰めて考えていくと
- 喉が乾いたから
- なぜジュースじゃダメなの?
- 太るから
先ほどのFASHER法に当てはめると、Human Relations(対人関係)だということが分かります。
つまり、水の売り物は美容や健康であり、その体験をさらに向上させるという方向で商品を改善していくべきなのです。
そこから生まれたのが、フランスの飲料水メーカーEvianの化粧水。
実は、中身はコンビニに150円で売っている飲料水と全く同じ水。
見せ方やアプローチを変えただけで、1,450円の美容水として販売し、ヒット商品となりました。
ソフト視点でモノを見たことで、顧客の求めている「美容体験」というニーズを把握し、同じ商品でも「持ち運べる美容」として付加価値をつけて売上を上げることができたのです。
ニッチ層にニッチな提案
さらに、ターゲットの設定で紹介した「4段階の3段目の法則」を活用していくとより効果的な売り方ができます。
例えば、ニュースキュレーションアプリのグノシーの例で見ていきます。
グノシーは、社会人に向け、情報収集が3分できるというコンセプトのもとにリリースされました。
ただ、社会人というターゲットはあまりにも広すぎて、ピンとこないですよね?
ここで、「4段階の3段目の法則」を使ってみます。
- 成人や社会人:広すぎる
- 会社勤め:まだ広すぎる
- 不を抱える営業職:営業に役立ちそう
- 経営者:狭すぎる
そこで、生まれたのが当時CMでよく使われていた「営業成績を上げる!」や「3分で雑談力が上がる!」というキャッチコピー。
これが、売上成績に悩んでいる営業マンに「役に立ちそうだな」と感じさせ、心をグッと掴んだわけです。
ニッチ層に「不の解決」と「理想の姿」をイメージさせるニッチ戦略で、ターゲットを絞り、多くのユーザーを獲得することができたのです。
体験を意識したサービス設計
モノや選択肢があふれる現代では、体験にシフトした売り方を工夫する必要があります。
例えば、飲食店なら、「おいしい料理」や「おいしそうな料理」は当たり前にあるので、「おいしそうな体験」を売り出すことによって買われるのです。
ファッション業界では、原価が40%と高いけど、安く売るZARAのような企業があれば、ルイヴィトンのように原価が低15%と低くても高く売ることのできる企業もあります。
一方で、飲食業界では、大衆居酒屋であろうが、高級料亭だろうが、原価は同じ30%台。
ただ、お腹いっぱいになりづらい高級料亭の単価が数万円単位って、疑問に思いませんか?
その差は、「体験」という付加価値をつけているから。
この付加価値をうまくつけて上手くいっているお店が、「ざうお」という居酒屋。
楽しい海鮮居酒屋を目指し、ハード視点だけではなく、ソフト視点の体験を重視した仕掛けを提供しています。
例えば、
- 店内の生簀で実際に魚を釣ることができる
- 釣った魚をその場で調理してもらえる
- 子供が楽しめるよう寿司づくりを体験できる
単純に魚料理を食べるだけではなく、店内で魚を釣るという体験が付くことで、家族でも楽しむことができるアミューズメントパーク的な環境としても機能しています。
このように、モノを売るのではなく、体験にフォーカスしてサービス設計をすることで、価値を上げる。
すると、そこにファンが付き、競合と戦わずとも生き残る強いサービスを作ることができるのです。
売り方、見せ方のポイントまとめ
- ハード視点でなく、ソフト視点で見る
- ニッチ層にニッチな提案
- 体験を意識したサービスと商品設計
今回は、なかなか面白い具体例が多く、普段では考えないような角度でビジネスを見ることができたかと思います。
この通りに設計していけば、競合と戦わず、負けないビジネス運営ができるかと思います。
ぜひ、参考にしてみてはいかがでしょうか?
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