【地獄すぎた】フィリピンからシンガポールにペットを連れて行く手続き

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シンガポール移住したい人「ペットと一緒にシンガポールに移住したい。だけど、日本語の情報を探してもなかなか見つからない。経験者の情報が知りたいな。」

こんにちは、旅リーマンのZuminです。

そんな疑問を持つ方向けの記事です。

この記事を書いている僕は、先日フィリピンからペットの猫2匹をシンガポールに連れてくるために、多くの時間とお金を費やしました。

僕の場合フィリピンからの引越しということで、日本語でも英語でもあまり情報がなく、かなり苦戦したので、誰かの役に立てばと思い記事に残しておきます。

ペットと一緒にシンガポールに移住したい方はぜひ参考にしてみてください。

もくじ

  1. ペットの輸入条件確認
  2. マイクロチップの装着
  3. 狂犬病ワクチンと抗体検査
  4. 隔離施設の予約
  5. 飛行機の予約
  6. 輸入ライセンスの取得
  7. 空港検査の予約
  8. 健康診断と寄生虫除去
  9. 輸出許可証の取得
  10. 搭乗手続き
  11. チャンギ空港での手続き
  12. CAPQでのチェック
  13. 隔離施設へ移送
  14. 自宅への移動

1. ペットの輸入条件確認

まずは、シンガポールにペットを輸入するための条件を確認しましょう。

国ごとに狂犬病のリスク分けがされており、どこの国から輸入するかによって、手続きが変わってきます。

狂犬病リスク隔離
カテゴリーAオーストラリア・ニュージーランド・アイルランド・イギリスなし
カテゴリーB日本・オーストリア・ベルギー・バミューダ・ケイマン諸島
デンマーク・フィンランド・フランス・ドイツ・香港
アイスランド・イタリア・ジャージー島・リヒテンシュタイン
ルクセンブルク・ニューカレドニア・ノルウェー・ポルトガル
スウェーデン・スイス・オランダ・アメリカ(グアム・ハワイのみ)
なし
カテゴリーCカナダ・キプロス・エストニア・ラトビア・韓国
スロバキア・スロベニア・スペイン・台湾・アメリカ(ハワイ・グアム以外)
10日
カテゴリーDカテゴリA、B、C以外のすべての国30日
出典:AVS公式サイト

輸出元の国に6ヶ月以上滞在していることが条件、さらに品種によってシンガポールへ連れて来れないものもあるので、確認しておきましょう。

輸入禁止の犬種輸入禁止の猫種
ピットブル系
秋田犬
ボーアボール
ドゴ・アルヘンティーノ
ブラジリアン・ガード・ドッグ
ナポリタン・マスティフ
土佐犬
ペロ・デ・プレサ・カナリオ
または上記犬種の交配
ベンガル・サバンナ(1〜4代目含む)
出典:AVS公式サイト

カテゴリーDに該当する場合、この準備は移住の6ヶ月以上前から始めるようにしましょう。

2. マイクロチップの装着

次に、マイクロチップの装着をします。

ISO規格に沿ったマイクロチップで、ワクチンの接種歴や治療歴が記録する必要があります。

マイクロチップの15桁のコードと証明書は後ほど必要になるので、しっかり保管しておきましょう。

フィリピンマイクロチップ証明書

マイクロチップ装着費用:20,000ペソ(2匹)

3. 狂犬病ワクチンと抗体検査

マイクロチップの挿入から1週間後、狂犬病のワクチンを接種しに再び動物病院へ。

フィリピンの場合、オーストラリアの専門機関に抗体を送付後、結果を待つ必要があるので、時間とコストがかなりかかってきます。

抗体検査で有効な血清は0.5 IU/ml。

ワクチン接種後、2ヶ月ほどしてからメールで検査結果が届きました。

抗体検査結果

ワクチン&検査費用:40,000ペソ(2匹)

4. 隔離施設の予約

抗体検査の結果が出たら、隔離施設の予約を開始しましょう。

実は、この作業が1番の難関です。

AVS管轄のQMSというサイトから予約をするのですが、このサイトがとにかく使いづらい。

空いている日付を一発で表示してくれるのならいいのですが、カレンダーから1日ごとに空きがあるかチェックしなければならずめちゃくちゃ時間を取られます。

QMS

おまけに、ワクチン接種後の抗体が有効な1ヶ月間しか出発のチャンスがないので、ピンポイントで空きを見つけるにはかなり苦労します。

僕の場合、1ヶ月間キャンセル状況の確認で毎日空きをチェックしていました。

ラッキーなことに、エアコンなしの部屋にキャンセルが出たので、早速予約しデポジット(費用の約40%)の支払いを完了。

残り60%の支払いは、隔離が10日経過後にメールにて請求されます。

隔離部屋タイプ金額
エアコンなし(扇風機)$16.80/日
エアコンあり$26.25/日
空港からの輸送費$74(1匹あたり)

隔離施設費用:1,156ドル(2匹)

5. 飛行機の予約

隔離施設を抑えたら、シンガポール行きの飛行機を予約します。

フィリピン航空の場合、フライトの最低48時間前までにはペット登場の旨を電話で伝える必要があります。

僕はチケットを購入後、フライトの1ヶ月前にはペット2匹が搭乗する旨をカスタマーセンターに伝え、余裕を持って予約を完了しました。

のちに、これが大きなトラブルとなることはつゆ知らず。

往復チケット費用:355ドル

6. 輸入ライセンスの取得

飛行機のチケットを取ったら、到着の1ヶ月前を待ち、シンガポール側でのペットの輸入ライセンスを取得しましょう。

予約は、GoBusiness Licensingのサイトから行います。

シンガポールペット輸入ライセンス申請

ログイン後、[License Application][Licence to Import/Export/Transship Animals, Birds, Eggs and Biologics][Apply]の順に進み必要情報を入力していきます。

ライセンスの有効期限は30日間のみ、承認には2日ほどかかるので、到着日から逆算して余裕のある状態で申請するようにしましょう。

輸入ライセンス申請費用:50ドル

7. 空港検査の予約

輸入ライセンスが取得できたら、忘れないうちに空港でのインスペクションの予約をしましょう。

予約はSFAの公式サイトから無料で行えます。

ログイン後、[Online Inspection][Inspection Appointment Booking]→、[(NParks/AVS) Import Inspection of Animals & Products]の順に進み情報を入力していきます。

CAPQインスペクション予約

検査場は[Air Freight Centre (CAPQ)]を選択し、検査時間はフライト到着予定から90分後に設定しておくといいでしょう。

8. 健康診断と寄生虫除去

出発の1週間前を目処に、動物病院で最終の健康診断と寄生虫の除去治療を行います。

僕の場合は、シンガポールに先に移住していたため、余裕を持って10日前にフィリピンに入国。

かかりつけのクリニックで、2時間ほど待たされ完了。

9. 輸出許可証の取得

健康状態に問題がなければ、フィリピン側での輸出証明書の作成手続きに入ります。

この書類は、BAI(Bureau of Animal Industry)の管轄で、自分でやるか、動物病院に委託するかの2択になります。

僕は確実にミスなくやってくれるであろう動物病院に以下の書類を託し、任せました。

  • ペットパスポート(ワクチン接種歴記載のもの)
  • シンガポールの輸入許可証
  • 抗体検査結果
  • フライトチケットのコピー

数日後、書類ができたとの連絡があり動物病院を訪ねると、なぜかカテゴリーBの書類で申請されており「おかしいのでは?」とドクターに質問。

「これで問題ない」と言い張るので、信じて帰宅しようとすると、数分後スマホにメッセージが入り「間違えてるかもしれないので、もう一度書類を持ってきてほしい」との連絡が。

結局、カテゴリーD専用の書類で申請し直し、出発前日のギリギリに書類が揃うことに。

高いお金を払った上に、ミスでヒヤヒヤさせられるのであれば、自分で申請してしまった方がよかったと後悔…

健康診断&輸出許可証申請代行:20,750ペソ

10. 搭乗手続き

当日は、フライト出発の3〜4時間前には空港に着くようにしましょう。

僕は9時のフライトだったため、NAIA空港に4:30には到着していました。

チェックインカウンターに並ぼうとすると、嫌なメールが届きました。

PALメール

本日のフライトは機体に換気設備がないため、ペットの搭乗は許可されていません。

いやいや、1ヶ月前にペットが乗ることは伝えているし、確実に予約は完了していました。

ペットNGにしても、チェックイン直前でメールしますかね?

そもそも1ヶ月前からの予約が記録されているから、このメールを送ってきているはず。

怒りは頂点に達し、スタッフになんとかするよう伝えるも「どうにもできない、苦情を言いたければどうぞ」と冷たい態度。

「あなたたちのミスなんだから、代わりの手段を探してくれ」と怒鳴っても、まるでこちらが悪いかのような対応。

隔離施設の問題で8月15日到着という時間に制約のある中で、ミスがないように準備したのに、一瞬で予定がブチ壊され最後は涙も出ませんでした。

1時間後、呆然と早朝の空港で立ち尽くす中、フィリピン航空のスタッフが近づいてきて、翌日のフライトに無料で振り替えるとのこと。

とりあえず、一旦自宅に帰り、シンガポールにいる妻に到着日がズレても問題ないか確認してもらうことに。

結果、隔離は予約日の3日間までは有効ということを確認し、空港でのインスペクションの予約も取り直し。

一安心したと同時に、大切なフライトはフィリピン系の航空会社は使わないように心に誓った瞬間でもあります。

>> 人生最悪のフライト体験談

翌日、再びNAIA空港に早めに入り、昨日揉めたスタッフに「今日こそは大丈夫か?」と確認し、チェックインの資料を全て渡しました。

NAIAペットチェックイン

ペットは追加の貨物扱いになるので、別料金を支払い後、諸々40分ほどでチェックイン完了。

待機場所は暑く、フライトまで時間があるとのことでペットはカウンター横で待機。

NAIAペット待機

ギリギリまで一緒に待機、その後の作業は空港のスタッフにおまかせ。

CAさんに「うちの猫は安全に乗れたか?」確認し、いざ3時間のフライト。

ペット運搬料金:7,770ペソ

11. チャンギ空港での手続き

シンガポール到着後、スーツケースを受け取り、うっかりゲートを出てしまう前にLost & Foundへ行きましょう。

ターミナル1 Lost & Found

エアラインによって窓口が分かれており、僕の場合はフィリピン航空だったので、satsグループの窓口で申請をしました。

sats

窓口でペットを輸入した旨を伝え、ペットのタグ番号と輸出許可証を提出します。

書類に名前と連絡先を記入後、署名して待機。

数分後、チャンギ空港動物検疫所(CAPQ)に運ばれたとの確認が取れたため、空港を出てそのままタクシーでCAPQへ向かいます。

12. CAPQでのチェック

チャンギ空港動物検疫所と言っても、空港から20kmほど離れた場所にあるので、辿り着くのは想像以上に大変です。

CAPQのあるチャンギ空港航空貨物センター内に入るには、ゲートパスをもらう必要があります。

チャンギ空港航空貨物センター内

ゲートパスをもらうには、入口付近のパスオフィスで名前やID番号を記入、IDを提出するだけでもらえます。

センター内は色々な貨物倉庫があり、一般人にはとにかくわかりにくい作りになっています。

明らかに機嫌の悪いタクシードライバーに適当な降ろされたため、30kgのスーツケースを引きずって、人に聞きながらなんとか見つけましたCAPQ。

CAPQ

施設内に入り、すべての書類を受付で提出後、しばらくすると別の部屋に案内され、そこに猫たちがいました!

猫

朝3時にフィリピンの自宅を出発してから12時間経っており、さすがにお疲れの様子。

とにかく、無事でシンガポールに辿り着いてくれて一安心。

10分ほど戯れた後、今度は40km以上離れた動物隔離センター(AQC)へ移送されるとのことで、またお別れ。

ひと仕事を終えた僕は、家路につきました。

17:30ごろ、隔離施設にチェックインしたとメールが届くと同時に、1匹65ドルの請求が。

30日以内に払わないと、20ドル追加だよという脅しにも近い内容を見ると、狂犬病ワクチンの追加接種だそうで、渋々PayPalで支払い。

追加ワクチン接種料金:130ドル

13. 隔離施設へ移送

翌日、猫の様子を見るのと、普段食べ慣れているフードを届けるために、AQCを訪れました。

中心地からは20kmほど離れており、車で30分ほど、電車バスを使うと1時間弱かかる場所にあります。

AQC行き方

しかも、平日15-17時(土曜のみ14-17時)までしか訪問できないので注意しましょう。

シンガポールAQC

施設に入ると、すでに数名が受付で待っていました。

本人確認と書類にサインをして、RFID付きのカード(クレジットやデビットカードなど)を登録すれば、以降は手続きなしで隔離施設の鍵を開けることができます。

鍵をGETし、スタッフに部屋を案内してもらうと、うちの猫がいました!

AQC隔離施設

まだ慣れない環境で、怯えていて食事が進んでいない様子。

猫専用の隔離部屋は電話ボックス2つ分ぐらいのサイズ感で、窓と扇風機が付いていて、思ったより大きなスペースです。

カテゴリーDからの輸入は、ここで30日間の隔離が必須となります。

14. 自宅への移動

30日間の隔離が終わったら、ついにペットを自宅へ迎え入れる準備に入ります。

隔離施設の延長はできず、必ず隔離終了日の10-12時の間に迎えに行くように予定を空けておきましょう。

ちなみにシンガポールでペットと一緒に移動するなら、Grab Petがおすすめです。

Grab Pet

普通のGrabより料金はちょっと高くなりますが、普段通りアプリから呼べるので手軽に使えて助かりました。

猫

新しい家に慣れない様子ですが、2日ほどで元気になりました。

フィリピンからシンガポールへの引っ越しは、ペットにもオーナーにもとにかく負担がかかるので、相当な覚悟が必要です。

まとめ

ペットの引越しは簡単にできると思っていたら大間違い。

手続きの多さとかかったコストに衝撃を受けたのではないでしょうか?

特に、僕の場合は最低ランクのカテゴリDであるフィリピンからの輸入ということで、思い通りに手続きが進まず、精神的にも金銭的にもかなり消耗しました。

動物病院でさえも書類をミスり、しまいには航空会社にもペット輸送をドタキャンされ、危うくすべてが台無しにされるところでした。

それだけ、フィリピンからシンガポールにペットを連れて行くというケースは稀だということなのでしょう。

カテゴリBに属する日本からの輸入でも、隔離以外の作業はほぼ同じなので、ぜひ参考していただければと思います。

猫をシンガポールの自宅に迎え入れるまでにかかった日にち

8ヶ月

輸入手続きのコスト

費用内訳金額
マイクロチップ装着20,000 PHP
狂犬病ワクチン & 抗体検査40,000 PHP
隔離施設(30日エアコンなし)1,156 SGD
飛行機往復チケット(シンガポール⇄マニラ)355 SGD
輸入ライセンス50 SGD
健康診断 & 輸出許可証申請代行20,750 PHP
ペット運搬7,770 PHP
追加ワクチン接種130 SGD

コスト合計:約38万円(日本円換算)

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