【ETFもAIが運用する時代】Qraft AI ETFってどんなの?
QraftのETFを知りたい人「AIが運用するETFがあるらしい。そこそこいいパフォーマンスが出てるらしいけど、AIに運用任せるなんて大丈夫なの?詳しい情報を知りたいな。」
こんにちは、旅リーマンのZuminです。
今回は、こういった疑問を持つ方向けの記事です。
先日、ETFの情報をチェックしていたところ、AIがポートフォリオ管理をするETFが結構いい成果を出していると言うニュースをたまたま発見しました。
非常に興味深いトピックでしたが、日本語での情報はほとんど得られなかったため、調べた内容を解説していきます。
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もくじ
- Qraft AI-Enhanced ETFとは?
- Qraft AI-Enhanced ETFのパフォーマンスは?
- Qraft AI-Enhanced ETFの購入方法
Qraft AI-Enhanced ETFとは?
Qraft AI-Enhanced ETFとは、Qraft Technologies社が提供するAI主導によるアクティブ型ETFです。
各ETFのポートフォリオは、独自のAIによって管理され、膨大な量のデータからマーケットの状況に応じて最適な銘柄を自動で売買、リバランスしてくれます。
これまで4つのETFを発行済みで、大型株、グロース、高配当、バリューというテーマで運用されています。
ティッカー | 銘柄 | 経費率 | 設定日 |
QRFT | Qraft AI-Enhanced U.S. Large Cap ETF | 0.75% | 2019/5/21 |
AMOM | Qraft AI-Enhanced U.S. Large Cap Momentum ETF | 0.75% | 2019/5/21 |
HDIV | Qraft AI-Enhanced U.S. High Dividend ETF | 0.75% | 2020/2/27 |
NVQ | Qraft AI-Enhanced U.S. Next Value ETF | 0.75% | 2020/12/2 |
Qraft社のETFの歴史は浅く、全て2019年以降の設定で、経費率はAIの開発にかかっているからか、経費率は他のアクティブ型ETFとほとんど同じ水準の0.75%となっています。
QRFT(Qraft AI-Enhanced U.S. Large Cap ETF)
QRFTは、S&P 500インデックスをアウトパフォームすることを目標に、アメリカに上場する大型株中心に幅広いセクターへAIが自動でアクティブ投資をするETF。
このETFでAIが銘柄を選ぶポイントは以下のとおり。
- クオリティ:安定した決算、良い貸借対照表、高い収益性
- サイズ:時価総額$2〜$10 billion(2,000億〜1兆円規模)
- バリュー:ファンダメンタルズに比べ、安値で取引されている株(ニュースで市場が過剰反応している時)
- モメンタム:過去12ヶ月でアウトパフォームした銘柄
- ボラティリティ:ボラティリティの少ない株
こうした過去の膨大なデータを元に、最適なタイミングで自動買付し、ポートフォリオを管理しているそうです。
AMOM(Qraft AI-Enhanced U.S. Large Cap Momentum ETF)
AMOMは、アメリカ上場の大型株トップ50社の中から、相場の時流に乗って高いリターンを計測した勢いのある株にAIが自動でアクティブ投資をするETF。
- 短期での大きなリターン
- 高いリスク許容度:ボラティリティを活用しリターンを最大化
- 人の感情:「群れ」のメンタリティを利用し、大きな波を捉える
これら、過去3〜36ヶ月の間のデータを分析し、最もいいパフォーマンスが出るようにAIが株をランク化し、その時に最適な構成銘柄を組み込むとのことです。
HDIV(Qraft AI-Enhanced U.S. High Dividend ETF)
HDIVは、アメリカ上場の大型株で高い配当率を誇る会社を組み入れ、株価のリターンと高い配当利回りの両方で最適なバランスを見つけるETF。
- 配当利回り:毎年株価に対し、どれくらいの割合で配当を出しているか(配当利回り高い = 良い投資ではない)
- 配当性向:会社の利益に対し、どれくらいの割合で配当を出しているか(比率が高い = 長期的な成長が望めない)
配当利回りの高さだけで株を選んでしまっている投資家に向け、AIが膨大なデータを分析し、長期目線で最適なトータルリターンが出せるよう予想を立てて管理するとのことです。
NVQ(Qraft AI-Enhanced U.S. Next Value ETF)
NVQは、アメリカ上場の大型株の中で、ファンダメンタルズの割に株価が過小評価されているバリュー株を組み入れ、各会社の無形資産である研究開発費・マーケティング費用・特許発行も含めた評価をするETFです。
- 知的財産:商標・特許・ライセンス契約など
- のれん:ブランド価値、従業員、顧客ベース、独自技術など
単純に帳簿価額からだけでは評価できない無形資産に関するデータをAIが学習。
そこから将来的な価値を予測し、価値が上がりそうな会社にAIが投資していくというバリュー株ETFだそうです。
Qraft Technologies社ってどんな会社?
ところで、このQraft(クラフト社)という運用会社はどんな会社なのでしょうか?
本社 | 韓国・ソウル |
創業 | 2016年1月 |
創業者兼CEO | キム・ヒョンシク |
従業員数 | 50名 |
総運用資産 | $72.32M (約80億円) |
Qraft社は、伝統的な金融業界にAIで変革を起こすというビジョンをもとに、韓国・ソウルで創業されたテクノロジーカンパニーです。
創業者兼CEOのキム・ヒョンシク氏は、ソフトウェアディベロッパーとしてキャリアをスタートし、韓国語と日本語の翻訳ソフトを開発。
その後、金融業界へ転職し、8年ほど自動取引システムの設計に携わりました。
そこで、学んだノウハウを生かし、2016年よりAIによる資産管理システムを開発する前身のQraft Capital社を設立し、独立を果たしました。
有望なAI企業に投資するという方は多いかと思いますが、テクノロジー会社がETFを発行・提供するというのは新しい発想で、非常に興味深いですね。
ちなみに、Qraft社のビジネスの柱は4つ。
- AIによる投資の最適化
- AIによる自動発注
- 定量データリサーチプラットフォーム
- ロボアドバイザー
韓国では、1,000億円規模の運用資産を誇るロボアドバイザーを主に金融機関向けに提供しているそうですよ。
Qraft AI-Enhanced ETFのパフォーマンスは?
それでは、気になるQraft社の4つのETFのパフォーマンスとトップ10構成銘柄を見ていきましょう。
各ETF、設定から日が浅いため最大1年での評価になります。
QRFT
QRFT | 1ヶ月 | 3ヶ月 | 1年 | 設定来 |
リターン | 1.46% | 5.67% | 36.39% | 31.86% |
Qraftの旗艦ETFの1つであるQRFTは、1年で36%、設定来でも30%を超えています。
S&P 500に連動するETFであるSPYと比較しても、トータルリターンで上回ることが増えてきており、少しずつ注目を集めています。
比率 | 会社名 | ティッカー | 保有株数 |
3.13% | MICROSOFT CORP | MSFT | 2,346 |
2.87% | APPLE INC | AAPL | 4,191 |
2.57% | AMAZON.COM INC | AMZN | 169 |
2.05% | ADVANCED MICRO DEVICES | AMD | 4,192 |
2.01% | ALPHABET INC-CL A | GOOGL | 159 |
1.63% | VERTEX PHARMACEUTICALS INC | VRTX | 1,814 |
1.48% | VEEVA SYSTEMS INC | VEEV | 1,002 |
1.40% | NVIDIA CORP | NVDA | 1,530 |
1.38% | DEXCOM INC | DXCM | 608 |
1.33% | AUTODESK INC | ADSK | 870 |
構成銘柄は、GAFAMやAMD、NVIDIAの半導体企業とオーソドックスな銘柄が中心で、SPYが500社以上に分散されているのに比べ、QRFTは350社ほどに絞ってS&Pのアウトパフォームを目指しています。
そのため、セクターとしてはテクノロジーとヘルスケアで全体の70%以上を占めており、分散と言う意味では弱くなります。
AMOM
AMOM | 1ヶ月 | 3ヶ月 | 1年 | 設定来 |
リターン | 0.22% | 5.15% | 37.24% | 35.94% |
もう1つの旗艦ETFであるAMOMは、時流に乗って売買を行うスタイルのため、1年で37%、設定来で36%近くのリターンを出し、4つのETFの中では一番いいパフォーマンスが出ています。
S&P 500の中でモメンタム投資をするInvesco社のSPMOと比較しても、トータルリターンでは大きく上回っているという結果が出ています。
比率 | 会社名 | ティッカー | 保有株数 |
6.64% | ADVANCED MICRO DEVICES | AMD | 23,320 |
5.17% | SNAP INC | SNAP | 25,672 |
4.70% | ZOOM VIDEO COMUNICATIONS INC | ZM | 4,843 |
3.50% | IDEXX LABS INC | IDXX | 1,936 |
3.43% | ALIGN TECHNOLOGY INC | ALGN | 1,823 |
2.71% | ROKU INC | ROKU | 2,743 |
2.56% | METTLER-TOLEDO INTL INC | MTD | 631 |
2.34% | ZEBRA TECHNOLOGIES CORP | ZBRA | 1,542 |
2.33% | BEST BUY CO INC | BBY | 7,374 |
2.28% | GARTNER INC | IT | 2,799 |
構成銘柄は、Snap、Zoom、Rokuなど日本でも有名なグロース株を中心に50社ほどに分散されていますが、時流に乗っかるスタイルのため、現状40%以上がテクノロジーセクターに偏っています。
HDIV
HDIV | 1ヶ月 | 3ヶ月 | 1年 | 設定来 |
リターン | 0.97% | 3.13% | 34.92% | 19.40% |
高配当ETFのHDIVは、1年で35%近く、設定来で19%のパフォーマンス。
高配当と言いつつも、配当利回りは2020年実績で1.67%程度なので、SPYDの5%台と比べるとかなり期待外れではありますね。
ただ、このETFは配当利回りだけでなく、配当性向も重視し、インカムとキャピタル両方の将来的なリターンが最適になるようにバランスされているので、トータルリターンで見た方が良さそうです。
比率 | 会社名 | ティッカー | 保有株数 |
6.37% | JOHNSON & JOHNSON | JNJ | 2,875 |
5.79% | WALMART INC | WMT | 3,072 |
4.91% | HOME DEPOT INC | HD | 1,161 |
4.83% | PROCTER & GAMBLE CO | PG | 2,673 |
4.19% | ADOBE INC | ADBE | 522 |
3.65% | PFIZER INC | PFE | 6,111 |
3.28% | CISCO SYSTEMS INC. | CSCO | 4,601 |
3.18% | VERIZON COMMUNICATIONS INC | VZ | 4,520 |
2.99% | INTEL CORP | INTC | 4,408 |
2.96% | PEPSICO INC | PEP | 1,508 |
構成銘柄を見ても、配当性向がそこまで高くなく、継続的な成長も見込めそうな会社がずらっと並んでいることが分かりますね。
NVQ
NVQ | 1ヶ月 | 3ヶ月 | 設定来 |
リターン | -2.87% | -0.32% | 26.48% |
直近でのパフォーマンスは、4つのETFの中で唯一のマイナス。
まだ半年ほどの運用ですが、設定来では26%超えのリターンを出しており、今後どんな成長をしていくのか期待が持てますね。
比率 | 会社名 | ティッカー | 保有株数 |
7.82% | INTEL CORP | INTC | 9,346 |
6.29% | RAYTHEON TECHNOLOGIES CORP | RTX | 4,579 |
5.40% | CVS HEALTH CORP | CVS | 4,063 |
4.93% | ANTHEM INC | ANTM | 858 |
3.64% | CONOCOPHILLIPS | COP | 4,084 |
3.44% | CIGNA CORP | CI | 1,049 |
2.51% | JOHNSON CONTROLS INTL PLC | JCI | 2,205 |
2.38% | WALGREENS BOOTS ALLIANCE INC | WBA | 3,086 |
2.32% | CENTENE CORP | CNC | 2,352 |
2.22% | KROGER CO | KR | 3,335 |
誰もが知っているのは、Intelや薬局チェーンのCVSでしょうか。
過小評価されているバリュー株を組み入れが中心になるので、地味でそこまでチヤホヤされないけど、歴史の長い会社が中心という構成になっていますね。
Qraft AI-Enhanced ETFの購入方法
最後にQraft社のETFの購入方法ですが、まだまだ日本ではハードルが高いのが現状です。
大手3証券(SBI・楽天・マネックス)で銘柄検索をしましたが、いずれも該当せずという結果でした。
証券会社 | 楽天証券 | SBI証券 | マネックス証券 | IG証券 | Firstrade証券 |
QRFT | × | × | × | × | ○ |
AMOM | × | × | × | × | ○ |
HDIV | × | × | × | × | ○ |
NVQ | × | × | × | × | ○ |
今のうちにQraft社のETFを仕込んでおきたいという方には、日本人でも利用可能な海外証券Firstradeでの口座開設をおすすめします。
Firstradeのおすすめポイント
- アメリカ上場の株・ETFに制限なく投資可能
- 取引手数料無料
- 口座維持手数料なし
Firstradeであれば、Qraft社の全ETFはもちろん、米国に上場するすべての株式の手数料無料で投資できるため、使わないのが損というレベルの口座です。
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詳しい口座開設方法や使い方などは、以下の別記事で分かりやすく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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さいごに
ということで、今回はAIが管理するETF、Qraft社の4つのETFについて紹介してきました。
まだまだ発行されて日が浅く、運用総額も少ないため、長期でのパフォーマンスは未知数というのが現状です。
ただ、2020年はどのETFもなかなか良い成績を収めており、ウォール街でも注目を集め始めています。
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非常に興味深いトピックで、今後も目が離せません!
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