フィリピン株について学ぼう!【現役フィリピン駐在員が教える】

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フィリピン株に興味がある人「フィリピン株に投資をしたい。だけど、日本語での情報が少なくて不安。証券口座や市場についても詳しく知りたいな。」

こんにちは、旅リーマンのZuminです。

今回は、そんな疑問を持つ方向けの記事です。

この記事を書いている僕は、2015年からフィリピン・マニラに駐在、2017年からインドネシアに転職し、2019年に再びフィリピンに戻ってきました。

ということで、現地に滞在しながら、市場の伸びを肌で感じ、実際に証券口座も持っている僕が、フィリピン株式市場の基本情報をお届けします。

もくじ

  • フィリピン市場の基本情報
  • フィリピンの株ってぶっちゃけどうなの?
  • フィリピン株のおすすめ証券口座とは?

それでは、早速学んでいきましょう!

フィリピン市場の基本情報

フィリピン市場の基本情報

フィリピンと聞くと、「治安が悪い、貧困、麻薬戦争」などあまりいいイメージを持つ人は多くないかもしれません。

ただ、それは数年前の話で、実際には東南アジアでも有数の成長国として注目を集めています。

ここでは、現地在住者の目線でフィリピン市場に投資する上で重要なメリットとデメリットを解説していきたいと思います。

メリット

  • 世界一の人口ボーナス
  • 力強い経済成長
  • フィリピンペソの強さ

世界一の人口ボーナス

フィリピンの人口ピラミッド
出典:PopulationPyramid.net

フィリピンは、実は生産年齢人口の増加が60年以上続くとされ、世界で一番長期的に人口ボーナスを享受できる国とされています。

人口ボーナスとは:総人口に占める生産年齢(15歳以上65歳未満)人口比率の上昇が続く時期

これは、インドネシア(2050年)やベトナム(2041年)よりも長いと言われていて、簡単に言えば老人が少なく、若い人が多い状況がずーっと続くので、長期にわたって経済が回り続けるということなのです。

まさに、今日本で起こっている高齢化とは真逆ということですね。

力強い経済成長

フィリピンは今まさに発展の真っ最中であり、次々にインフラ開発や高層ビル、マンションの建設が進んでいます。

理由の1つに、ドゥテルテ大統領による「ビルド・ビルド・ビルド」という政策で、一気にプロジェクトが進み出したことが大きいです。

ビルド・ビルド・ビルドプロジェクト
出典:AJRC Real Estate

マニラの中でもマカティ、BGCと呼ばれる街の中心に出れば、経済成長を肌で感じることができるかと思います。

ちなみに、GDP成長率で実際に数字を見てみると、現在コロナによるロックダウンが続き、2020年11月時点でマイナス11.5%となっています。

出典:National Statistics Office of Philippines & Asia Development Bank

ただ、ADB(アジア開発銀行)の最新レポートによると、2021年には経済が回復し、再び6%台に戻ると予測されているので、長期で見ると影響は限定的とされています。

フィリピンペソの強さ

実は、アジアの中でもフィリピンペソは非常に強い通貨としても有名です。

1つには、OFWと言って海外に出稼ぎに行き、フィリピン国内にいる家族に仕送りをするということが当たり前になっており、あらゆる外貨が常に流れてくる仕組みになっているから。

さらに、英語が喋れる国民のため、欧米企業のコールセンターがたくさんあり、外貨によるビジネスの収入源と大きいことも要因と考えています。

それを受けてか、2020年の日本格付研究所によるフィリピンの信用格付けはこれまでのBBB+からA-へと一段引き上げられています。

つまり、簡単に言えばフィリピン政府にお金を貸しても、確実に返済できる可能性が高いと評価されているということです。

実際に、このコロナ渦でも対ドル、対円でペソ高が続き、価値が下がりにくく、不況に強い通貨であるということを証明しました。

デメリット

  • 外需に頼る雇用問題
  • いまだに続く汚職問題
  • 迫りくる政治不安

外需に頼る雇用問題

上述の通り、フィリピンは基本的に出稼ぎ労働者の送金がGDPの11%を占め、欧米企業のBPO(アウトソーシング)に頼る部分が大きく、国内での雇用が十分に生み出せていません。

国内におけるビジネスは資源に乏しく、財閥の独占と政府の規制が強い事から、なかなか新しいビジネスが生まれてこないのが実情です。

実際に大学を卒業しても、就職先がなくファストフード店でアルバイトで生活を続けるといった人もまだまだ存在します。

出稼ぎが多い=国内に十分な仕事がない

ということの裏返しなわけで、成長を加速させていくためには国内で新たな産業が生まれ雇用が創出されなければ、外需に頼り続けることとなります。

優秀な人材は流出し続ける一方で、いずれ成長に陰りが出るのでは?という懸念があります。

いまだに続く汚職問題

残念ながら、フィリピンではいまだに政府内での巨額の横領事件や、汚職事件が続いています。

このコロナ渦でも、Philhealthという政府系の社会保険機関から1,540億ペソ(約3,300億円以上)が架空請求で不正に横領されました。

さらに、BI(入国管理局)では、職員19人が賄賂を受け取り、不正に中国人労働者を入国させたことが明らかとなりました。

こういったマインドが根付いている以上、国の信用は上がりませんし、先進国に比べると投資リスクの高さは否めません。

しかし、ドゥテルテ大統領は「汚職を徹底的に排除する!」と息を巻いているので、少しでも改善されることを願っています。(あまり期待はしてませんが)

迫りくる政治不安

2016年よりロドリゴ・ドゥテルテ大統領が誕生し、過激な言動や圧倒的な行動力で世界中から注目を集める一方で、腐敗した政治の立て直しに尽力し、国内での支持率は91%と依然として高いです。

ただ、一方でドゥテルテ大統領は現在75歳と高齢で、任期も2022年6月に終了することから、次期大統領の問題が出てきます。

大統領が変わることで、これまでの政策が中止され、一気に方向転換する可能性も否めないため、再び政治不安に陥ることも予想されます。

メリット・デメリットの両面は冷静に見る必要があるものの、フィリピンは日本の高度経済成長期のようなタイミングにあることは間違いなく、長期で見れば大きく資産を増やすことのできるチャンスだと考えています。

フィリピンの株ってぶっちゃけどうなの?

フィリピンの株ってぶっちゃけどうなの?

まずは、フィリピンの証券取引所の基本情報について簡単に紹介します。

フィリピン証券取引所とは?

フィリピン証券取引所
出典:BusinessWorld

設立1927年(マニラ証券取引所として)
上場銘柄数274銘柄
時価総額14兆ペソ(約30兆円)

フィリピン証券取引所(PSE)はアジアで最も歴史のある取引所の一つです。

ただ、3000近くの銘柄を扱う東京証券取引所と比べ、約10分の1ほどしかなく、時価総額も30兆円ほどで、東証一部の640兆と比べてもまだまだ小さい市場です。

それゆえに、フィリピン株は安いものだと、1株あたり数十円で買うことができます。

※ただし、株価によって単元株数が決まっています。

出典:Pesolab

一番株価が安いラインなら0.0099ペソ×100万株=9,900ペソ(約2万円)で買えてしまいます。

これくらいの価格なら、初心者の方でも「ちょっと試してみようかな」と思える額ではないでしょうか?

フィリピン市場=財閥系企業

フィリピンの株式市場は、時価総額の50%が財閥系企業で占められ、不動産、金融、エネルギー、都市開発などのインフラを担うコングロマリットがほとんどとなります。

そして、代表的な30銘柄で構成されるのが、フィリピン総合指数(通称:PSEi)となります。

出典:Aseanup.com

例えば、有名どころを挙げると、

これは良くも悪くもではありますが、フィリピンに住んでいれば必ず目にする企業ばかりです。

逆にこれらの企業のサービスを受けずに生活することは、ほぼ不可能というくらい市場を支配しています。

個人的感情は抜きにして、投資対象という視点で見ればこれほど安心できる投資先はないと言っても過言ではないかもしれません。

人口ボーナス × インフラ × 新規参入障壁

以上の3点を踏まえると、長期にわたって成長を続けることはほぼ間違いないとも言えますね。

なので結論、フィリピン市場に興味があるのであれば、まず財閥銘柄に投資しておくのが、一番安全かと思います。

フィリピン株のおすすめ証券口座とは?

フィリピン株のおすすめ証券口座とは?

フィリピン株を取引できる証券口座はまだまだ少ないです。

その中でも、日本人でも口座開設をすることができる代表的な3社を紹介します。

  • アイザワ証券
  • COL Financial
  • AB証券

アイザワ証券

アイザワ証券

アイザワ証券は日本におけるアジア株のパイオニアとして、フィリピン以外にもシンガポール、ベトナム、マレーシアの銘柄も取り扱っている数少ない証券会社です。

手数料売買代金の 2.20%(対面取引手数料)
売買代金の 1.65%(インターネット・モバイル発注)
売買代金の 1.98%(コールセンター発注)
売買代金の 2.20%(コンサルネット発注)
取扱銘柄数75
為替スプレッド7銭

ただし、日本では独占的な取り扱いのため、手数料はネット注文でも1.65%高く、買いの場合は5,500円の最低手数料がかかってきます。

何かトラブルがあったときに、日本語でサポートが受けられるのは魅力ですが、まだまだ値上がり幅の低いフィリピン株にこれだけの手数料を払うのは、現実的ではないかもしれません。

>> アイザワ証券はこちら

COL Financial

COL Financial

COL Financialはフィリピン現地の老舗証券会社の1つです。

手数料売買代金の0.25%
VAT(消費税)12%
PSE手数料 0.005%
SCCP手数料 0.01%
取扱銘柄数274
最低入金5,000ペソ〜(約1万円)
最低手数料20ペソ(43円)
※売買の0.25% or 20ペソどちらか高い方

さらに、売りの際に売却税として株数×価格×0.006で税金がかかってきますが、日本の証券会社を使うよりは手数料を抑えられそうですね。

細かく手数料がありややこしいですが、まとめると以下のような手数料となります。

0.25% + (0.25% × 12/100) + 0.005% +0.01% = 0.295%
出典:Pesolab

手数料負けしないためには、8,000ペソ(約16,000円)以上で購入することをおすすめします。

英語でのやりとりとフィリピンの銀行口座開設が問題なくできる方であれば、日本にいながらでも開設できるそうなので、試してみる価値はあるかと思います。

※フィリピンの銀行口座の開設は年々厳しくなっているようですが、PNBであれば非居住者でも受け付けてくれる可能性がありそうです。

>> COL Financialはこちら

AB証券

AB証券

最後のAB証券は、40年以上フィリピンで営業をしている超老舗企業です。

手数料売買代金の0.25%
VAT(消費税)12%
PSE手数料 0.005%
SCCP手数料 0.01%
取扱銘柄数274
最低入金なし
最低手数料20ペソ(43円)
※売買の0.25% or 20ペソどちらか高い方

手数料に関しては、先述のCOLと全く同じ仕組みですが、最低入金が必要ないので始めやすいですね。

さらに、ありがたいことにAB証券は日本人の口座開設を積極的に受け入れており、取引画面は日本語にも対応しています。

AB証券 日本語画面

ただし、AB証券もフィリピンの銀行口座を持つことが前提となってきます。

>> AB証券はこちら

AB証券の口座開設方法は、僕の実体験をもとに以下の記事にて詳しく解説しています。

ちなみに僕は、COLとAB証券を両方で口座を持っていますが、AB証券はスマホ用アプリがあって、インターフェイスが整っているため後者をおすすめします。

COLはWebサイトが90年代かと思わせるぐらい動作がもっさりしていて、文字も小さく使いづらいのです(笑)

さいごに

ということで、まだまだ世界的には知られていないフィリピン株式市場を紹介してきましたが、いかがでしたか?

人口ボーナスが続き、力強い経済成長を長期で見込めることもあり、今後ますます注目されていくのではないかと思います。

僕は米国株を中心に資産運用をしていますが、現地在住でフィリピンペソの所得もあるので、一部リスク分散の意味でも少しずつ投資して、将来に備えていこうと考えています。

もっと詳しくフィリピン株を学びたいという方は、フィリピン投資で資産1億円を達成された町田さんの著書「手堅く儲けるフィリピン投資入門」が読みやすくおすすめですよ。

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